コラム

description「できませんでした」で終わらせない――契約を履行する会社のあり方

ビジネスの現場では、「契約不履行」という言葉を耳にすることがあります。本来、契約とはお互いが合意した約束事であり、守られるのが当然の前提です。それにもかかわらず、状況の変化や都合を理由に合意内容を反故にしてしまう会社が存在するのも事実です。なぜ「約束を守る」という当たり前のことができないのか、不思議に思わざるを得ません。契約を軽視することは、相手に迷惑をかけるだけでなく、自らの信頼や将来の機会をも損なう行為です。

弊社では、創業以来「一度約束したことは必ず実現する」ことを徹底してきました。もちろん契約前の要件定義段階では、現実的に実行可能かどうかをすり合わせ、お互いに納得できる内容へと調整します。しかし、一度合意した内容については決して曖昧にせず、最後までやり遂げます。状況が厳しくなっても「できませんでした」で済ませるのではなく、どうすれば実現できるのかを考え抜く。その積み重ねこそが、弊社の事業を支える基盤となってきました。

一方で、約束を軽んじる企業も少なくありません。目先の採算や負担を優先して契約を破れば、その場は逃れられても、長期的には信用を失い、事業の持続性を自ら危うくしてしまいます。信頼は一度損なえば取り戻すのに長い時間がかかる。契約不履行は、企業にとって極めてリスクの大きい行為だと言えます。

弊社の場合、特別なことをしてきたわけではありません。契約を結んだ以上、それを履行するのは当然のこと。その当然を一つひとつ積み重ねてきただけです。しかし振り返れば、その積み重ねが信頼関係を築き、結果として現在の良い状況につながっているのだと思います。約束を守る姿勢に派手さはありませんが、企業にとって最も大切な基礎であることを改めて実感しています。

筆者: 宮野 清隆 高度情報処理技術者資格であるテクニカルエンジニア、アプリケーションエンジニア、プロジェクトマネージャ等を27歳までに取得したITのスペシャリスト。 2008年に株式会社シスデイズを設立し、代表取締役就任。2020年、高IQ団体JAPAN MENSAの議長/会長に就任。 現在はシスデイズと並行し、IT以外の企業でも顧問として活動している。
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